暗黙知を形式知化出来ないリーダーへのアドバイス

2019年8月12日 Vol.054

組織内では、毎年昇進・昇格がありますが、それが上手くいくケース、行かない失敗ケースなど、さまざまです。


特に問題になるのが、優秀な主任が昇格で課長となり、周囲の期待は高いのですが、逆に本来の実力を出せないケースが多いです。


それは「人マネージメント」を上手く対応できないケースです。


それは組織にとっては大きな損失となります。



今日のテーマは「暗黙知をどう形式知化するか」です

優秀な主任が社内引き籠りになる


過去にいくつかの同様なケースを見てきました。


優秀で仕事バリバリこなす主任さんが、課長に昇格したとたん、
部下が相談に課長席に行った際「今忙しいから後で来て」と返事はするが、「いつ?」が不明。



それが数人の部下からの相談がつづくと
(課長の仕事は方向性のアドバイスと判断ですから・・)


今度は朝から会議室にこもり「重要書類作成するから、超緊急以外は声かけないでね」と誰とも会いたくない宣言。


部下は相談する相手が居らず、メモを課長席に置きますが、それすらも返事がもらえません。

結果的に本人が課長の許可なく(と言っても期日がありますから、何らかの対応はしなければならず)判断する。


それがつづくと、課長の判断無しの対応が当たり前となり、細かな問題が発生する。

それが大きな問題に発生し、最後は「大事は案件は私に相談してください!」と大声で注意するが、周囲は失笑するのみ・・



これは現実の話です!

 

なんで会議室に籠るの?



直接の部下ではないが、ちょっと「引き籠り状態」を耳にしたので、おせっかいか・・と思ったがお茶に誘った(近所のおじさん的存在として)


~何かあったの? 会議室が居心地よさそうだけど!


聞いてくださいよ!
部下の理解度は低い、一回説明しても理解してもらえない。


そもそも自分で考えれば済むことなのに、
なんで私が判断しなければならないのか!
そんな指導をしていると、私が作らなければならない資料が出来ない

 

 


~わかったよ。せっかく昇格したのに、毎日大変だね。
でも傍からみているとあたなの部下のかなり大変にみえるけど・・

そうですか? それ以上にわたしのほうが大変ですよ。

 

 

課長の仕事はなにか?



~じゃあ、あなたの上司ではないから、近所のおじさん(社内の上位職としてではなく気楽な関係)として話をしてもいいかな? 


参考にしてもらえると嬉しいよ。
でも判断はあくまでも課長のあなたがしたほうがいいからね

ということで下記の話をしました。

 

 


1、優秀だった主任(今課長)の暗黙知(個人ノウハウ)が
  部下に伝わっていない(伝えていない)

 



2、課長に昇格したのに、未だ主任感覚で、じぶんが資料を作る人と
  勘違いしている
  仕事は部下、課長は戦略と関連部署との調整・部下育成と評定、
  ということが基本任務であるべき。

  つまりあなたが、主任時代に会得したビジネスノウハウ・つまり
  あなたの暗黙知を形式知かして、多くのスタッフが仕事を理解
  できる環境を作る。

という基本が理解されていない
(ということを課長昇進前にしっかりと伝えていない)

 


~1、については、言って理解してもらえないのであれば、
   フォーマットかテンプレートを作って部下に渡したらどうかな?

時間がないですよ。私いそがしいんですよ。


~じゃあ部下に作らせたら?

そこまでするんですか? 


~するのが課長だよ.   

じゃあやってみます・・・(不服そうに)




~2、課長の仕事って何か? って聞いて事ある?



部長から4月から課長やってもらうから いいね、って言われて、
期待しているから だけでしたので、期待に沿ってよい資料を
作成しなければ、と思っていました。


課長研修しても、セクハラ、パワハラ、労働法(残業時間・有休取得)の
注意点は詳しく教わりましたが、課長職って何をするの? 
については聞いていないですよ!

ましてや、暗黙知を形式知化する、なんて全くないですから・・


本当に驚きながら、自分を振り返りあまり状況はかわっていないな~
とも感じました。


さらに具体的にとアドバイスしました。


・なぜあなたは優秀と評価されるのか?
 新人の時から優秀だったのか?

  
⇒先輩から手取り足取り教えてもらった。そのときの先輩からもらった
 フォーマットやテンプレートを自分なりに工夫してきた。

 それこそ、先輩の形式知を自分が消化し、さらにあなたの
 ノウハウを追加して新しい暗黙知をつくったんだね。
 素晴らしい!

 
・ならば、基本フォーマット(形式知)を提示してあげれば、
 まず部下は基本の仕事できるね。その後どこまで自分で消化して、
 新しい自分暗の黙知をとこまで作れるか? だけど 
 それは今後のお楽しみとしよう


適材適所で仕事の効率をあげよう


1、マニュアルつくりは年上部下を超若手を組み合わせるとよい
  年上部下はあなたよりも経験が長く、仕事の多くを良く
  知っているから、昭和のノウハウを令和
 (当時は平成でしたが)の若手が分かりやすい文章とイラストなどの
  補足説明がある文章にしたほうが、マニュアルが欲しい
  若手が理解しやすい。


ポイント:年上部下の活用:本当に良く仕事を理解されており、
     そのノウハウをすべて出してもらい、
     文章化をいう形式知化をしてもあることで
     本人も達成感を感じてもらえる。

    
ただし具体的な文章化は若手が担当する。
若手は一般的に様々な情報収集は得意だが、
それを編集することには不慣れなので、
情報編集力を養ってもらう。


まだ社内専門用語に慣れていないだろうから、
その定義を含めて形式知化してもらう。
(それが業務マニュアルと社内辞典となる)

 


2、そのマニュアルの整理は、○○さんにおねがいしたらよい
  ○○さんの資料管理はすごい
  (ISOのファイルは○○さんが担当していがとても見やすい

   ポイント:部下の得意分野をきちんと把握し、
   それを業務に生かすことが大事。
   上司はそこまでみてもらえているんだ、という
   意識が高まる。

  
  形式知を部門に浸透させるための工夫が必要
  勝手にどこかのファイリングされても、多くの人に活用してもらえなければ無意味となる。


  できれば社内(外部もセキュリティーに問題なければ可能)で社員全員が共用できる共通DBなどがあるとよい。

 


3、さらに、何がわからないことはあるか? の会議を定期的に持ち、
  (今まで理解が遅い、薄い、と思っている部下が理解できるまで  マニュアル・テンプレート対応を継続する)

  さらに、今のテンプレートは暫定だから、今後皆さんが独自に
  改定させていくことが大変望ましい!と説明する。



ここまですれば、大多数の部下は満足するはず!


特に人財多様化への対応を意識したわけではありませんが、
横の部門のスタッフのキャラからこのようなアドバイスをしました。。

 


しばらくすると、課長はなにやら始めています。
傍観していると、横の課からいろいろと話がきこえてきました。


・課長が会議室での籠りから課長席に戻ってきた
・初めて課長が指示をした
・課長と話す機会ができた
・なぜこれを行うのか?について、課長の新入社員のころの昔ばなしを聞いて、課長を身近に感じた。

 


直接の部下ではないので、その後はあれこれ言っていませんが、
彼自身が今のままではまずい という認識があったのでしょう。
ですから彼自身の変革を自分で成し遂げられた、と思います。

 


自分の仕事は何か? を理解し、部下のキャラを把握することと、
仕事のマッチングをきちんとすれば、組織は回り始めますね。

 


リーダー・経営者の皆さん、自分の仕事と部下のキャラ把握は十分ですか?
そして組織の暗黙知の形式知化は着々と進んでいますか?

 

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