内閣府による壁ドン教育をホフステード視点で読み解く

CQエバンジェリスト 谷口彰です。

(CQ: 文化の知能指数 Cultural Intelligence Quotient)

2022年4月7日、内閣府の研究会「人生100年時代の結婚と家族に関する研究会」が恋愛支援のために教育に「壁ドン、告白・プロポーズの練習、恋愛ゼミ」などを組み込むことを提案しました。(研究会報告書骨子案として)

人生100年時代が来ています。私の父は大正15年生まれで96歳なので、本当に人生100年時代を実感していますが、

その時代背景で、恋愛弱者の支援として、内閣府の研究会から「壁ドン」教育を提案され、結婚を推進する、という内容です。

この内容をホフステード文化次元の視点で読むと、どう理解できるか? について考えを共有したく思います。

**ご参考

ホフステード文化次元:国別の文化の違い(国民文化の違い)を相対的に比較できるスコア化したもの。

成蹊大学の小林盾教授(1968年生まれ)が提案者とのことですが、これは個人の問題ではなく、日本における『特徴的な思考であり志向』では、という仮説の元、ホフステード文化6次元で「壁ドン」を読み解いてみます。

壁ドンは2014年の流行語大賞トップテンに選ばれましたが、「人生100年」時代に再度脚光を浴びました。

壁ドンは男性が主導する:ホフステード文化次元・達成志向

壁ドンとは(Wikipediaより)

「恋愛における壁ドンは、主に漫画やアニメ、さらに実写ドラマや映画などでも見られるシチュエーションである。「男性が女性を壁際まで追い詰め、壁を背にした女性の脇に手をつき『ドン』と音を発生させ、腕で覆われるように顔が接近する」まで、あるいは「耳元で愛を囁かれる」までが一般的な壁ドンである。このシチュエーションにおける男性は、女性から見ていわゆる「イケメン」であるか、好意を持っている男性に限る、とする報道もある」

イケメン男性が女性を追い詰め「ドン」ですね・・

やはりその考えとしては

  • イケメン(普通ではないイケメンである前提)
  • 追い詰めて「ドン」

これは通常の状況(なにが通常か?の議論はありますが・・)とは異なり、必ず決めるんだ、という強い決意を伴った行為である、と思われます。

ここに日本の達成志向:95ポイント という特徴的な文化次元があります。

壁ドンは過去の成功事例である:ホフステード文化次元・不確実性回避

恋愛は相手がいるので、結果として目的(付き合い始める、一緒に居る、同棲する、結婚する等々)が達成できるか? はわかりません。

私は幼稚園の時、担任だった石黒先生に憧れを持ったことが恋愛感情の第一歩だと思います。(告白はしませんでしたが、手をつないでもらった記憶があります(笑)

読者の方も、恋愛は100%成功している方は少なく、何度かの失敗経験があるのではないでしょうか?

そこに恋愛=不確実なもの(100%の成功はないという前提)となると、恋愛=確実なものにしたい日本人がいます。

ホフステード文化次元の確実性指数として、日本は92ポイント、というとても高い指数です。

よって、成功するために、過去の成功事例を引用したくなります。会社の業務でも、何かイベントを企画する際、新たな企画をゼロから作ると失敗する可能性があるので、過去の成功イベントを調査して、その成功要因を新しい企画でも流用したい、となります。

壁ドン=過去の成功事例として引用していると思われます。

壁ドンは恋愛フレームワーク(構造化)である:ホフステード文化次元・不確実回避

壁ドン=過去の成功事例の引用ですが、同時にフレームワークとしての活用です。

過去の成功事例と同様に、フレームワークとしての「壁ドン」ではないでしょうか!

ビジネスとしてのフレームワークとして

・SWOT分析(内部・外部の強み。弱み)

・3C分析(Company, Customer, Competitor)

・4P分析 (Product, Price, promotion, Place)

などがありますが、これらと同列で「壁ドン」が恋愛フレームワークとして運用されるのでしょうか・・

壁ドンはよく学び、よく練習をして、実行するもの:ホフステード文化次元・達成志向・不確実性回避

人生100年時代に恋愛を通じて幸せを得るために「壁ドン・告白・プロポーズの練習」を教育に取り組むという提案ですが(内容の是非はさておき・・)、教育という画一的に恋愛教科書が作成され、それを学び(予習、復習、テスト又は実践)で会得するというプロセスは、まさに、実行精度を高め、確実に成果を出したい、という日本文化を端的に表していると思います。

人生100年時代を幸せに過ごすことは大切なことですので、今後も議論を重ねていくべきだと思います。

その際、他人との違いを理解し、行動する事が大切であり、かつ違いは問題ではなく、相互理解を深めるきっかけと思うと、新たな世界が開けると思います。

ホフステード文化次元より「壁ドン」を分析してみましたがいかがでしたでしょうか?

ホフステード文化次元をより深く学びたい方は、

CQラボ主催 https://cqlab.com/

ファシリテーター養成講座 をご覧ください。

またCQラボ主宰の宮森の著書
【経営戦略としての異文化適応力 ホフステードの6次元モデル実践的活用法】
もご参考にしてください。

CQラボ 谷口彰

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