習主席のスローガン『中華民族の偉大なる復権』をホフステード文化次元で読み解く

こんにちは! CQエバンジェリストの谷口です。

(CQ: 文化の知能指数 Cultural Intelligence Quotient)

先日、新聞記事にて、「中国 国恥地図」が存在することを知りました。

それがいつ、何の目的でできて、それが現在はどう扱われているのだろうか?

等々の疑問と違和感を感じたので、まずは自分なりに概況を理解し、それをホフステード文化次元視点から理解してみます。

今日のテーマは「中華の復権をホフステード文化次元で読み解く」です。

中国 国恥地図とは

「国恥地図」とは、中国(当時は国民政府の統治する中華民国)で1930年前後に作られた、中国が列強により喪失したとされる領土を示した地図である。(引用:Wikipedia)

では、過去に喪失した(侵略で奪われた)領土はどこか? ですが、

日本関連では、樺太、対馬、奄美諸島、沖縄列島であり

台湾、ボルネオ、タイ、カンボジア、ベトナム、ミャンマー、ラオス、キルギスタン、ウズベキスタン、カザフスタン、モンゴル、アフガニスタン、ネパール、ブータン、インド、韓国、北朝鮮 などの一部または全部です。

これらの面積は、中華人民共和国の国土面積の2倍に相当する。

中国の夢(チャイナドリーム)とは

これは習主席がアメリカンドリームを真似して作ったスローガン(宣伝標語)であるが、2012年にこの概念が生まれ、現在の中国でも愛国主義的な場面で多用されている。

中国の夢は「中華民族の偉大なる復興」と「一帯一路」の2つから構成されている。

かつて東は中国からはローマ帝国に及ぶ広大なシルクロードを勢力下におき、文化や経済と科学技術をリードした中国の栄光を取り戻す、という意味が込められている。(引用・抜粋:Wikipedia)

中華民族の偉大な復興とは

習主席の「中華民族の偉大な復興」とは、上記の「国恥地図」に描かれているように、過去の屈辱から中国を(領土を含む)「正しい」地位に戻し、国際社会に於いて、中心的役割を担う、というストーリーです。

1030年頃に作成された「国恥地図」を今でも政治的に活用し、国家の方向性とするところに「中国の文化次元」としての興味が湧いてきます!

また、「中華民族」とは 漢族と55少数民族の総称(中国共産党による)となっており、かなり広範囲にわたる対象者を中華民族と定義していることがわかります。

では、この「中華民族の偉大な復興」の達成目標時期ですが、中華人民共和国100周年の2049年を意識しているのでは、との推測がありますが、具体的な復興の時期、その意図等はまだ不明確な点が多いです。

ホフステード文化次元から読み解く「中華の復興」

 権力志向達成志向確実性長期志向
中 国80663087
日 本54959288

「中華民族の偉大なる復興」を国恥地図とチャイナドリームより振り返りましたが、そこにはホフステード次元では4次元が大きく関連している、と思われます。

権力志向:80 

習主席の願い(チャイナドリーム)が共産党施策となり現在もその思想が生かされている。トップの意向の強さを感じます。

達成志向:66

何があろうと(周辺国からの反発、漢民族以外からの離反など)、中華民族がまとまり、過去に喪失した領土を取り戻す、という強い達成志向を感じ取れます。

確実性:  30 

中国の確実性スコアは30と低いです。つまり、不確実なことも受け入れることができる、という文化です。

チャイナドリームの2つのスローガンとも、内容の概略はわかりますが、その詳細と達成時期が明確ではない状況でも、それを共産党の重要施策として打ち出すところが、不確実なことも実際に行動に起こすことで、将来が見えてくる、というものです。

この点は大きく日本と異なる点です。日本では、詳細の展開計画が無ければ、国家施策の国際社会へのPRをすることを控える傾向が強いですが、中国は真逆です。

長期志向 87

約90年前に作成された国恥地図を未だ活用し、中国の復権を2049年の中華人民共和国建国100周年に仮定すると38年後です。

今の時点と2049年(仮説ですが)では国内、国際環境が現在と大きく異なる点があるでしょうが、決めたことはそれまでに実行する、というとても長い時間のスパンですが、それをきちんと対応できるのが、長期志向の特徴です。

国恥地図、中華の復権をホフステード文化次元の視点で見ると、個人的に違和感を持っていた内容が、ホフステード文化次元で理解できて納得しました。

*この内容には政治的に領土や少数民族の人権問題等はありますが、それよりも、私が個人的に感じた違和感を掘り下げる目的でブログ内容を作成しました。

ホフステード文化次元にご興味がある方は、こちら(CQラボのHP)をご覧ください。

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