ダイバーシティ・インクリュージョンと女性活用

 

2019年7月19日 Vol043

人財が多様化している現状で、社会では様々な対応をしています。

セミナー等でも「ダイバーシティ・インクルージョン」という言葉をよく見ます。実際、日本語の多様化対応と「ダイバーシティ・インクルージョン」とは同じなのか?違うのか? 多様化対応は女性活用だ、との論調がありますが、それは正しい理解なのか? などについて私の理解をお伝えします。

今日のテーマは「ダイバーシティ・インクルージョンを理解しよう」です

多様化する人財対応の専門家 谷口彰です。

このブログでも、多様化する人材として

・シニア社員の増加(定年延長に伴い)
・女性の活用
・派遣社員・アルバイト社員の増加
・外国人社員の増加
・さらにLGBT(性の多様性)も認知され、増加しています。

と紹介しています。

これらの対応として、グローバルレベルで「ダイバーシティ・インクルージョン」があります。

 


ダイバーシティ(Diversity)とは?

直訳:多様性です。
企業としては、多様な人財を活かす、という意味になります。  


⇒人種、国籍、性別、性格、学歴 に捉われず就業機会を広げる、という意図です。

誰も同じ人はいない。一人ひとりは違う という前提に立っています。

 

 


インクルージョン(Inclusion)とは?

直訳:包括・包含、という意味になります。
企業としては、従業員全員が、能力・経験・考え方・制約 が認められ活かされる、という意味になります。

⇒誰も同じ人はいない。一人ひとりは違う(ダイバーシティの理解)を受け入れて・お互いを認め・かつ尊重すること。違うことを組織の一部・特徴として認めること、という前提に立っています。

 

ですから、「多様化する人材の活用・戦力化」をカタカナ化すると
「ダイバーシティとインクリュージョン」となります。(D&I と省略されます)

 


女性活用はダイバーシティ・インクルージョン」なのか?

女性活用はD&Iの第一歩の位置づけ

私の理解としては、女性活用だけが重要なのではなく、ダイバーシティとインクリュージョンを理解して、その視点から、労働人口の半分を占める女性に対して、違いを認め、女性を活用できる(働きやすい)環境を作ること、これが多様化する人材対応としての第一歩だと思います。

ですから、現在直面している女性活用視点から、まずは
・ダイバーシティとして、女性人財を活かして
・インクルージョンとして、女性の能力を環境・制約を認め、いかに能力を発揮してもらうか、
という対応が必要になります。

と同時に、女性活用が出来ない職場では、シニア社員・派遣社員・外国人社員への対応は全く期待できませんね!


女性活用の大きな壁は旧世代マネージメントの古い考え方

女性活用しよう! 言葉では簡単ですが、実際は大きな壁があると思います。

その壁は、昭和・平成前期を旧世代として活躍し、今マネージメントをしている我々です。

日本人・男性・部下は年下・正社員・滅私奉公の金太郎飴組織で長年過ごしてきた昭和・平成前期の旧世代にとって、女性は(残念ながらまだまだ)異物的存在です。 まだ仲間として100%認められてはいないのでしょうか?

よく聞く言葉として・・ 女性=男性ではない。
フル残業を継続すると、体力的に続かない。
お子さんがある方に長期出張は依頼できない
だから女性は男性とは違うんだ! という意見です。

当たり前ですね。女性と男性の体力的差は歴然です(例外ありますが)
ですから、女性ではなく、体力的に弱い人 にはそれなりの業務を与え、
体力が強い人には、それなりの仕事を与えることが大事です。

業務ではジョブローテーション(JR)を行いますが、それは各人のキャリアアップを考えて、仕事の幅を広げることが目的です。
でも同時に、各人の個体差・能力差・経験差・環境と制限を考慮することが大事であり、それが当たり前の世界にならなくてはいけません。

 

まずは女性が働きやすい場所を作り、それを通じて ダイバーシティとインクリュージョンの理解を高めていくと、結果として、人材に対する多様性対応が高まり、結果として多用な人材採用ができる、という流れです。

ですから、まずは女性活用でD&Iの基礎固めです。


多様化する人材を活用できる環境作り

以前、多様化する人材に関するセミナーに参加したことがあります。
有名な企業の人材開発部の方々が自社の人材多様化の対応について説明をされていました。

その際にとても印象的はやりとりがありました。
A社:弊社は人材の多様化を目標とし、女性社員、女性管理職、女性役員の目標値を設定し、その目標を達成しています。

Google社:弊社は特に社員の属性(国籍、男女、年齢)についてのデータはありません。採用は、このような資格・資質・経験を持っている人を採用してもらいたい、という現場の要望に対して、採用活動をします。採用に際しては、国籍、男女(LGBT)、年齢などは考慮しませんし、結果としてのデータ化していませんし、その必要も感じていません。

その後、会場からの質問として、男女比率とか年齢比率は人事として管理しなくてもよいのでしょうか? 

Google社:採用はその時点での最高の人材を採用しておりますが、その際に、その方の資格・資質・経験以外になにが必要なのでしょうか?
男女(LGBT)比率を管理すると、業績はあがるのでしょうか?

女性活用とかシニア活用とか・・いろいろはテーマはあがりますが、企業としては結果として、業績あげて利益を確保する、という大事な目標がありますが、その為には、男女とかLGBTとか気にせずに、その時点で最高の人材を採用すれば、(結果として)人材は多様化して、業績もあがる、というお話です。

ダイバシティ・インクリュ―ジョンは、男女比率、年齢構成、国籍構成を変えていくのが目的ではありません。あくまでも多様な人財を採用すれば業績があがる、という意味でもありません。

真の意味は、採用に(男女、年齢、学歴、国籍等)の制限を付けずに、本当に最高の人材を採用すれば、会社の業績はあがり、結果としてその会社の人材は多様化する、という意味です。


昭和・平成前期の旧世代マネージメントへのアドバイス

とは言いつつ・・ まずは昭和・平成前期のマネージメントにどっぷりと漬かっている我々は、まずは、目の前の部下のダイバーシティ(多様化)を見つめる、という基本的は事から始めなければなりません。

金太郎飴組織になれている世代にとって、多様化する人財は頭痛の種でしょう。しかし自分が変わるか? 自分が組織からでるか? の2択しかありません。

旧世代の方は家庭をお持ちだと思います。お母さま・奥様・娘さんと3世代を比べればそれぞれ考え方・仕事観が変わってきています。
という事実を知っていながら、会社では対応できないのでしょうか?

お父様・ご自身・息子さんと別の3世代をみても価値観の違いは大きいです。
でも仲良くされていますよね!

多様化人財を目の前にして、もし彼らが家族だったらそうするか?
という質問をあるセミナーでしたことがあります。

ある部長さんから一言「うちの親戚にはそんな変は奴はいない!」と発言され、
参加者からは「旧世代の代表者!」と大きな笑いが起きました。

どうすれば、多様化人財を理解し、活用して戦力化するか? 大きなテーマですが、私は「みんな家族だ。仲良くやろう! ところで、何が得意?」と軽い気持ちで始めています。 ご参考まで。

 


私のLBGT経験

私がLBGTになった、という意味ではありません。
私があるグループと夕食会をしていた際、その方の一人がT:トランスジェンター(性同一性障害)だったとの事。

研究所の部長職の方で、髪は長くて後ろで束ねていました。年配の方でしたが、長髪が似合っていました。

その食事会の後半で、ある方が、
「○○さん、今日もブラジャーつけてる?」
「もちろん。パンティもはいているよ。つけないと落ち着かないよ。
 こころは女性だからさ!」

とサラッと答えられてました。私は一瞬会話についていけず・・

別の部長さんが、彼は自分からカミングアウトしたけれど、大きな騒ぎにはならなかったよ。だって彼の仕事は一流だし、心が女性でも仕事には一切関係ないからね。

9年間の出来事でした。当時は多様化人財とかLBGTなどの言葉はまだ一般化されていませんでしたが、多様性を受け入れて・その人の技量を最大化し、組織の業績に貢献する、というD&Iの真意は当時からその方の周囲では実現されていたんだな~とブログを書きつつ思い出し、すごい事だったんだ!と驚いています。



近い将来に、D&Iがブログテーマにならないような、真の多様化対応社会になることを願っています。


今日も最後まで読んで頂きありがとうございます。
良い一日をお過ごしください。

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